医療コンサルタントの仕事について
1)医療コンサルタントとは?
医療コンサルタントは、主に病院や医療法人の経営に対するコンサルティングを行ない、経営課題を解決して健全経営を目指します。「病院の経営」と聞いて違和感を感じる人もいるかもしれません。 病院、診療所が困っていることなどあるのかな、と思いますよね。
一般的に歯科医院はコンビニより多いといわれますが、他の病院等も以外に多いと感じたことはありませんか。
また、日本は少子高齢化が進み、年々人口が減少しています。このような中、病院、診療所も競合が多く患者様をどう誘導するかなどの経営的な問題が発生しています
このような状況下で一般企業とは違い、病院や介護施設、福祉施設にはいわゆる経営のプロがいないこともしばしば。そのため外部へ経営に関する助言を求めることも多いのです。
助言を求められるのは、「医療コンサルタント」です。
さて、保険制度が適用されるため、医療系の施設を「事業」と捉えない人も多いのですが、公的なものを除く病院や介護や福祉施設のほとんどはビジネスです。そのため、経営が悪化すれば施設をたたむ必要もあります。この点は一般的なビジネスと何ら違いがありません。
(2)開業や運営のためのアドバイスを行なう
医療系の仕事も、利益を出すという点では一般的な事業と変わりありません。開業や運営の方法に悩みを抱くという点も同様でしょう。
・開業資金が足りない
・コストを削減させたい
・集患を伸ばしたい
一般企業の悩みのようですが、これらの悩みは医療系施設にも存在しています。
支援がなければ開業できない施設も少なくありません。だから、開業支援を求めている施設に支援の求め方をアドバイスしたり、開業後の運営をアドバイスしたりします。福祉施設や介護施設にもまったく同じことが言えるでしょう。
特に福祉施設や介護施設では支援を求めているところも多く、また人手不足という別の大きな問題も抱えています。コンサルタントが人材確保のためにプロジェクトを展開することもあるでしょう。
医療コンサルタントは特別の資格が必要では、ありませんが、あるとよい資格は次の通りです。
1)医業経営コンサルタント
医業経営コンサルタントという資格があります。医業経営コンサルタントの資格は、公益社団法人日本経営コンサルタント協会が発行している資格で、取得するためには講座を受講して2回の試験をパスする必要があります。資格を認定された後も継続研修を受ける義務があり、取得を検討するのであれば、準備も取得後の見通しも立てた上で挑むべきでしょう。
医業経営コンサルタントの資格を得るために必要な講座には50,000円、一次試験に10,000円、二次試験に15,000円の費用がそれぞれ必要です。2つの試験は一次試験が年に1回、二次試験が年に2回とあまり頻繁には開催されていません。合格率は共に70%前後と他の資格に比べれば高めですが、やはり資格を取得するためには努力と時間、そしてお金も必要です。その分、医業経営コンサルタントの資格は、医療施設からの信頼を得るための大きな支えとなるでしょう。
医療系経営のコンサルティングの仕事を請け負うためには、医業経営コンサルタントの資格取得はやはり検討すべきなのではないでしょうか。
なお、医業経営コンサルタントの資格を取得すると公益社団法人日本経営コンサルタント協会から認定登録をされます。認定登録をされた人は、公益社団法人日本経営コンサルタント協会のHPに都道府県別に名前を載せてもらえます。登録されている人数はけっして多くはありませんから、認定登録をされてHPに自分の名前を載せてもらえれば、仕事を得るチャンスを広げることになります。
2019年2月現在、認定登録されている資格所得者の人数は東京都こそ約470人ですが、人口の多い神奈川県や北海道でも50人から70人程度。20人程度しか登録されていない都道府県も多くあります。競合が少ないのがよくわかります。なお、認定登録されるためには登録料に80,000円、1年間継続する毎に120,000円の費用が発生するため、それなりに大きなランニングコストが発生する資格だということも覚えておきたいポイントです。
(2)情報化認定コンサルタント
情報化認定コンサルタントとは資格の名前であり、医業経営コンサルタントの資格を保有するものだけが受験資格を与えられるものです。医業経営コンサルタントの資格と同じように公益社団法人日本経営コンサルタント協会が発行しています。主に医療機関の経営に有効な情報化を学ぶため、より現代的なコンサルティング方法を取得しているコンサルタントとして協会から認定されます。
医療現場や福祉や介護の施設を、情報化社会と密接な繋がりがあるとは考えにくいかもしれません。しかし、どの業界も日進月歩。やはり情報社会に対応する必要はあります。医業経営コンサルタントの資格だけではなく情報化認定コンサルタントの資格も持っている人のほうがニーズが高いのは言うまでもありません。
診療報酬改定の基本方針として、医師の働き方改革、安心安全で質の高い医療の実現のためにも情報化コンサルは必要になっていきます。
(3)医療経営士
医業経営コンサルタントとは別に、医療経営士という資格もあります。両者を比較すると、医療経営士のほうが取得しやすい資格と言えそうです。1級から3級まであり、段階的に受験することも可能。また、資格を維持するための費用も医業経営コンサルタントに比べると低コストです。
3級の受験費用は8,640円、2級は15,400円、1級は50,000円です。2級を受験するためには3級資格取得者であることが条件になり、1級を受験するためには2級取得者であることが条件になります。そのため、1級取得のためにはするためには最低でも3回の受験が必要となります。
ちなみに、医療経営士の資格を取得するための試験の合格率は3級で50%程度、2級で20%から30%程度。1級は受験者が少ないためにあまり参考になりませんが、だいたい50%程度が合格しているようです。
合格率こそ医業経営コンサルタントより低いですが、費用面から考えると医療経営士の方が受験のハードルが少し低い資格だと考えられます。
※上記は2019年1月時点調べです。各資格の取得を検討される方は、ご自身でより詳しい内容をお調べください。
医業経営コンサルタントの資格や医療経営士の資格が身を助けてくれる可能性は高いですし、コンサルティング業の中でも社会的な貢献度も高い仕事なのでやりがいは十分にあります。医療系経営コンサルタントの仕事に興味がある人は、まずは資格取得のために行動を起こすと良いでしょう。何の資格も持たず経験もなければクライアントからの依頼を得るのは困難なので、まずは独学で医療経営士3級を取得するのが現実的な道だと考えられます。
医療コンサルタントは、資格もあるほうが良いですが、医師、看護師等は患者様の病気に寄り添いうことを目指していられる方です。その想いを大切にできることが必要ではないでしょうか。