人件費の削減について考えてみましょう
今、さまざまなコストが上昇しています。
ガソリン、電気、ガス、そして最低賃金上昇により中小企業の経営環境はきびしくなっています。
利益を計上するためには、「売上の最大、経費の最小」稲盛和夫さんも言われています。
今回は、経費の最小化をみていきましょう。
経費には、変動費(売上により変わる経費)と固定費があります。
固定費のなかで、人件費が多くを占めています。
人件費
人件費とは、企業の必要経費のうち人(従業員)に対して支払う費用です。
毎月支払う給与のほか賞与も人件費になります。
【人件費の内訳 】
企業が支払う人件費には次のようなものがあります。
・給与手当、通勤費、残業手当、家族手当
・移動交通費、出張旅費、出張手当
・時給でしはらうパート、アルバイト
・役員報酬
・健康保険、厚生年金、会社負担1/2
労働保険(労災、失業保険)
・福利厚生費(慶弔費、健康診断費用など)
・教育費
業務に必要な知識・技術習得のための費用
・採用費用
採用のための求人広告、紹介料
【人件費削減のメリット 】
人件費を削減するとどのような効果があるでしょうか。
人件費を削減することにより、給与以外の経費も減少する。
人員を削減した場合、電気代、事務用品、消耗品費、オフィス縮小により給与以外の経費も削減できるでしょう。
人件費削減を設備投資、外注費を増やすことができる
必要な設備投資することにより労働生産性が改善される。
業務を見直し、外注に依頼することにより残業を減らすことができる。
【人件費削減のデメリット 】
コスト削減だけの安易なリストラや減給、給料カットは危険です。
なぜなら、社員のモチベーションが下がり、効率性が落ち、離職により人手不足になるからです。
現在、6月の有効求人率は1.27倍、6か月連続で上昇しています。
したがって 採用するに時間とコストがかかります。
人件費の削減には注意が必要です。
【人件費削減の方法】
人件費の指標にて会社の現状を把握します。
・労働分配率
労働分配率は適正な水準に保つことが大切です。
高すぎても、低すぎても好ましくありません。
業種業態により適正水準は異なります。
目安として
製造業:47.8%
卸売業:48.6%
小売業:49.9%
参考:2019年経済産業省企業活動基本調査
この他、厚生労働書の統計もありますので
調べてみてください。
たとえば、コンサルタント業、広告制作業、介護事業の労働集約型の業種については、労働分配率は高くなります。
労働分配率が高いと、従業員のモチベーションが高まります。
しかし、人件費が増加しますので、十分な設備投資ができなくなることも 考えられます。
計算式
労働分配率(%)=人件費÷付加価値
計算式にでてくる「付加価値」は、一般的に粗利益のことです。
・控除法 付加価値=売上高―外部購入価額
・加算法 付加価値=人件費+賃料+税金-他人資本利息+当期利潤利益 (大企業向け)
人件費
・給与、賞与
・法定福利費(健康保険、厚生年金、労働保険)
・福利厚生費
など
・労働生産性
労働生産性とは従業員1人あたりの付加価値であり、「会社の稼ぐ力」
の指標です。
労働生産性=付加価値÷従業員数
中小企業は1人当たり人件費が大企業に比べて低く、減らすことは難しくなります。
中小企業にとって人件費はコストではなくパワーなのです。
付加価値を上げ、利益が上がり、長く安心して働けるように
知恵を出しながら、効率化し労働生産性が上がるように取り組むことができる企業風土を作っていきましょう。
【人件費削減の順番】
経営者の覚悟が大切です。
①中期的なコスト上昇とインフレ局面を想定して値上げの交渉する
②原材料、生産工程、物流のプロセスの見直し
③業務を見直し、全社員で知恵も出し合い、改善する
・工具を種類別、工程別に整理整頓する
・作業台の高さ、手順の見直しにより作業時間を少しでも減らす
・電話が多く、作業が中断することが多い場合
電話代行業者を検討する
・作業量がおおく、オーバーワークの場合、外注することを検討する
結果として、利益が上がる、作業効率があがる
付加価値が上がり、人件費も上げることができます。
会社経営もよくなり、従業員も安心して働くきことができるようになります。
人件費削減について考えていきましたが、従業員が安心して、働くことができる会社をどうして
作れるかを考えていくことが重要ではないでしょうか。