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今回は介護職のうちデイサービスの採用について検討します

query_builder 2022/10/02
ブログ
川﨑佳奈子税理士事務所

1.デイサービスは退職が多く、採用が困難

 

(1)デイサービスの離職理由 

 デイサービスで働く人たちの多くは、介護を必要とする人のお役に立ちたい気持ちで就職しています。 

 それでも、仕事を辞めます。 

 全体での離職率はかなり高めで推移しています。 

 辞めたい理由は次のとおりです。 

 

   ①仕事内容が合わない 

    デイサービスの特徴にレクレーションがあります。利用者の身体機能の向上、脳の活性化を目的に行われます。 

    このレクレーションが不向きであったり、苦手に感じる人が多く退職理由の一つです。 

    また、介護職として将来を考えて転職する人もいます。 

 

  ②人間関係 

    これは、デイサービスだけでなく、どの職種においても同様です。 

    デイサービスの特徴として、パート、アルバイト、正社員のほか 

    看護師、生活相談員、介護職とことなる職種と一緒に働くので仕事の分担などで 

    不満、悩みも多くなります。 

 

  ③給与面などの待遇 

    全産業と比較して、 

     きつい  長時間労働が恒常化、人間関係がよくない 

     汚い   排泄介助、おむつ交換など 

     危険   排泄物や嘔吐物、認知症高齢者からの暴力、介護による腰痛など 

     給料が安い サービス残業が多い、昇給、賞与、退職金がない 

     

 

つぎに、 退職理由のうち給与面、特にサービス残業が多いを見ていきます。 

 

 (2)サービス残業が多い 

 ①介護業以外の仕事が定時内にできない 

  ・利用者の送迎もサービスの提供に含まれるので、事業所に戻ると 

   時間外となります。 

 ・利用者の体調不良による対応や突発的な延長サービスの利用 

 ・定期的に開催される会議、書類作成、翌日の準備など 

 

 ②デイサービスの平均的な残業時間  

  事業規模により変わりますが、正社員で平均10時間です。 

 「残業」は、法定労働時間である8時間を超過したあとに、残って業務をおこなると捉えやすいですが、

 実は「時間外労働」のことであり、法定労働時間を超過した業務業務を行うことです。 

 

 ③残業と賃金の関係 

  残業をした場合には、時間外手当を支払わなければなりません。 

 一般的に時間外手当は「1時間当たりの労働単価×1.25です。 

 

 ④残業が多いデイサービスの特徴 

  ・求人の頻度が多い 

    日常的に人手不足の可能性が高い 

 ・職場の雰囲気が暗い 

   採用面接、現場見学のとき、職場の雰囲気が暗く感じることです。 

   職場内において、挨拶を交わしていなかったり、笑顔が少なかったりする 

   事業所は、各個人の業務負担が多い傾向にあることが多くあります。 

 ・送迎やミーティングが時間外に設定されている 

   就業時間と事業所の営業時間を確認すると、残業発生時間を想定できます。 

 

2.それでは、経営者はどのような改善をすればよいでしょうか 

 

 (1)介護業界の働き方改革の取組は次の2つになります。 

  ①長時間労働の是正 

   効果的な取組みは次のようなものがあります 

 

  ・サービスの取捨選択 

    ライバルである同地域のデイサービスとの差別化です。 

    介護保険では「過剰」と評価されると介護保険の適用はありませんが、 

    保険適用外でも選ばれるサービスを考える。 

     「したい」と「できる」を明確にして経営理念、介護理念にそった 

     サービスを提供する。 

    これにより労働時間の削減が図れることでしょう。 

 

 ・従業員の意識改革を行う 

   デイサービスで働く職員は、「利用者のために」という気持ちで働いている人が多いので、

  「ゆっくり話を聞いてあげたい」「仕事を残すと利用者に迷惑をかける」という想いで

   隠れ残業をする従業員が多い傾向にあります。 

   ただ、一緒に働いている社員、パート全員ではありません。 

 

   社員の気持ちに寄り添いながら、働き方改革の必要性時間をかけ伝えていきましょう。 

 

   長時間労働が実現したら、どうなるかを具体的に伝えていくことがよいでしょう。 

 

 

 ・紙書類のデジタル化を検討する 

  これは厚生労働省も介護現場にICTの導入を促進しています。 

  介護人材確保・介護現場の革新におけるICT機器を導入することにより 

  想定される効果として、事業内(職員間)の情報共有が円滑になる、 

  職員1人当たり業務時間の短縮、負担が軽減するなっています。 

  具体的に検討する内容としては、 

   記録時間 → 記録業務 サービス提供記録・業務日誌、連絡帳を作成する時間 

        ICT機器、ソフトウェア導入により実績時間が短縮される 

       →報酬請求業務  介護報酬請求のための第7表へ記録業を記入、

        転記する業務時間  ICT機器、ソフトウェア導入により実績時間が短縮される 

  

 

 ②離職防止 

  離職防止に効果的な取組については、次のようなものかあります。 

  ・腰痛予防に取組む 

   腰痛ベルトを配布し、介護側の負担の少ない介護技術の周知徹底を図る。 

   新しい介護技術の研修に参加する。 

  ・メンタルヘルスケア 

   定期的な個人面談の中で、将来のビジョンや現場の課題を共有し、本音を引き出すことが重要です。 

 

 

経営者として大切なこと 

 デイサービスは労働集約型の事業です。 

 働く社員、パートが事業所に不満があると利用者によいサービスは提供できません。 

    第一 社員、パートを大切にすることが経営者のすべきことです。 

       (採用が困難なので、在籍している社員を大切にしましょう)

        これは、社員の未来像です。 

     

   第二  そのために、デイサービス、会社が未来にどうなっていくか、 

      事業の未来像を考えます。現状の延長の未来は明るくないのではないでしょうか。 

 

   第三 事業の未来を達成するために、組織の未来像が必要です。 

 

  そして、何よりも大切なことは 

   何のために、誰のためにという、使命感、経営理念です。 

 

   経営者の皆さまが、デイサービスを始めた理由を思い出してください。 

 

 ・「使命感」は社会にどう貢献していきたいか 

   例;・利用者様がすみなれた自宅で自立した日常生活を送れるよう、また 

     介護者の負担を軽減に貢献します。 

     ・利用者様が毎日楽しく生きがいをを提供し、心豊かな社会づくりに貢献します。 

 ・「経営理念」社員全員でめざす志です。 

  例・社員の幸せを追求し、人間性を高める 

   ・清潔で明るく、くつろげる空間の提供 

   ・尊厳と、人生の主役であることを感じてもらえる職員の対応 

   ・喜びを分かちあえる仲間づくり 

 

 

デイサービス事業は、離職率が高く、退職理由はやはり、給与面の処遇があげられます。処遇改善手当を利用しながら使命感、経営理念により良い社風をつくる。 

 これは、短期ではできないものですがICTの活用、業務の見直しをしながら残業しない 

 取組もしていきましょう。 

 

 近い未来、社員、パートさんが私たちのデイサービスはとても事業だと思ったとき 

 利用者さんも増え、事業も未来通りになるこどでしょう。   

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